適用の方対象に一泊もしくは二泊で切らずに治す硬化(注射)療法を行っております。
痔核一箇所につき、注射液を4回に分けて分割注射することで、痔核の縮小・止血ができます。痛みがなく、入院期間も手術に比べて短時間ですみ、従来の薬と比べて脱肛の治癒がかなり期待できます。

アルタ療法 (ジオン注) とは?
「脱出を伴う内痔核」にジオンを投与して、痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。
痔核を切り取る手術と違って、痔核の痛みを感じない部分に注射するので「傷口から出血する」「傷口が傷む」というようなことがなく、入院期間の短縮も期待できます。
ジオンとはどんな薬?
ジオン注の有効成分は、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸というものです。
ジオン注による治療方法とは
ジオンは、脱出を伴う内痔核に対して治療を可能にした注射製剤です。従来から硬化療法は内痔核の出血に対して行われてきましたが、脱出する痔核は治りませんでした。
ジオンは、出血を止めるだけでなく、脱肛も治すことを目的として開発されたそうです。

ジオンの投与方法
大きな痔核には、右下の図のように4箇所に分けて注射します。
注射後早い時期に、痔核へ流れ込む血液の量が減り、出血が止まります。
投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定して、脱出が見られなくなります。

ジオン注 (硬化療法) の経過・一泊の場合
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- 手術当日
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- 手術後2時間は安静です
- その後、洗面、トイレ歩行可
- 食事
- 昼:禁食
夕食:手術後3時間で全粥食
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- 翌日
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- 投与した部分や肛門周囲の状態を診察・退院
- 排便、シャワー浴開始
- 食事
- 普通食
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- 1週間後
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外来受診
(排便状態により、数回通院が必要になる場合もあります)
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- 1~2ヵ月後
- 痔核の退縮
- 入院期間や通院期間は、処置した痔核の数や大きさなども含めて患者さんの状態により異なります
- 副作用として、手術後2週間までに一過性に発熱することがあります
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- 排便はいつから?
- 排便は翌日から可能です。痛みを怖がって我慢しないようにしましょう。
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- 仕事復帰は?
- 力仕事でなければ退院後すぐに復帰できますが、数日間はできるだけ安静にしましょう。
「冷え」や「長時間の同じ姿勢」を避けましょう。
当院での治療成績
- 平成23年から平成25年の3年間、アルタ療法で治療された方は129名でした。
- 男女の内訳は、男性104名、女性25名です。(男女比は約4:1です)
- 再発の合計は10名でした。(7.7%)
- アルタ療法の副作用として、発熱、直腸潰瘍、かゆみ等、が起こることがあります。
- 当院において17名に副作用の症例がありましたが、全員、症状が治まり退院しています。
院長の感想
ジオン単独の治療はやはり痛みが少ないですね。
治療を始めたころに比べて再発が多い気がします。時間の経過とともに増えていく傾向があるのと、最近、適応を広げすぎた可能性があります。
外痔核は無理ですね。
女性は出産や便秘のために、皮膚や肛門上皮にポリープやスキンタグなどができているため、切除する必要があるからかなと思います (男性は痛みに弱く切りたくないことも?)。